英語学習者の多くが共通して抱える悩みがあります。それは、「ネイティブの英語が速すぎて聞き取れない」ということ。英語の映画やドラマ、海外のニュース番組などを見ていると、単語の一つ一つが聞こえてこない、まるで音が流れているだけのように感じる瞬間ありませんか?
しかし実は、この「聞き取れない」状態は、決してリスナーの耳が悪いわけでも、語彙が足りないからでもない場合が多いのです。真の原因は「音が聞こえない」のではなく、「音のまとまり(リズムや区切り)がつかめていない」ことにあるのです。

これを試せば
本当に変わります!
このような問題を解決する鍵となるのが、今回紹介する「シラブル音読(Syllable Reading)」という方法です。
これは、英語の音の“まとまり”である「シラブル(音節)」を意識して音読することで、英語の“聞こえ方”を劇的に変えるシンプルかつ非常に効果的なトレーニングです。
シラブル(Syllable)とは?
「シラブル(Syllable)」とは、英語における「音節」を意味します。音節とは、一息で発音される音の単位であり、英語ではこの音節ごとにリズムが構成されています。日本語の「拍」とは異なり、英語はこのシラブル単位で流れるようなリズムを持っています。
下記のラナ英会話さんの動画が凄く分かりやすく説明してくれてます。
動画内にも出てくる英文を見てみましょう。
“I’m afraid it’s gonna be even colder tomorrow.”
上記の英文を全部で13の音節に分ける事ができます。
I’ / ma / frai / dit’s / gon / na / bee / ven / col / der / to / mo / rrow
これを日本語的なカタカナで表現すると、
アイ / マ / フレイ / ディッツ / ガ / ナ / ビー / イー / ブン / コゥ / ダー / トゥ / モ / ロウ
のようになります。
このように英語は、シラブルのリズムが土台となって成立している言語です。逆に言えば、このシラブルの感覚を身につけない限り、英語の本来のリズムや発音を正確に捉えることは難しいのです。動画と同じようにやってみるとアニメ内の男性の発音が音として認識できるようになっているはずです。
- とりあえず意味はわからなくてよい
- 音として聞こえる様になっていればOK
- 長文などは音節に区切りカタカナでルビを振るとよい
なぜシラブル音読が効果的なのか?
なぜ効果的なのか?
1.ネイティブの自然なリズム・区切りを再現できる
2.リスニング力の向上
3.発音・スピーキング力への波及効果
4.脳が音のまとまりとして処理できる
ネイティブの自然なリズム・区切りを再現できる
英語ネイティブが無意識に話しているときのリズムを、シラブル単位でなぞることによって自然な発話感覚を身につけることができます。これは単なる発音練習ではなく、言葉を音のかたまりとして感じ取る力を育てる訓練でもあります。実際の会話で「区切り方」がわかると、英語のスピードにもついていきやすくなります。
リスニング力の向上
リエゾン(音の連結)やリダクション(音の脱落)といった、英語特有の音変化に強くなります。たとえば、“What do you want to do?” が「ワッダユワナドゥ」のように聞こえる現象にも対応しやすくなります。シラブルを単位に音の流れを捉えることで、聞き取れる音がぐっと増えていきます。
発音・スピーキング力への波及効果
音の構造を体得することで、発音もより英語らしくなり、自然なスピーキングが可能になります。特に、音節単位でのストレス(強勢)の置き方や、リズムのコントロールが身につくため、会話の中でもスムーズに話せるようになります。さらに、通じやすい発音を習得することで、相手に何度も聞き返されるストレスも減っていきます。
脳が音のまとまりとして英語を処理するようになる
意味ではなく、音ベースで情報処理することができるようになるため、聞き取りや話す際のスピードも向上します。これはいわば「英語脳」を育てる土台になります。単語や文を一語ずつ処理するのではなく、まとまりとして“かたまり認識”することで、英語をより速く正確に理解できるようになるのです。
英語の基本音構造「子音+母音+子音(CVC)」とは?
英語の発音において、基本的かつ重要な構造の一つが「CVC構造」です。CVCとは、Consonant(子音)+Vowel(母音)+Consonant(子音)の略であり、多くの英単語がこのパターンで構成されています。
【例】
cat → /k/ + /æ/ + /t/
dog → /d/ + /ɒ/ + /g/
map → /m/ + /æ/ + /p/
CVCの構造を意識することで、シラブルの切れ目や音の組み合わせが自然に分かるようになります。音読の正確性とリズム感が向上し、英語の“音の設計図”が見えるようになってきます。
英語では、音節内に複数の子音が連続することもあります。例えば、”scratch” という単語は、/skr/(子音群)+/æ/(母音)+/ʧ/(子音)で構成され、これでも一つの音節と見なされます。このように、英語では子音が連続しても一つの音節として発音されることが多く、これが日本語との大きな違いとなります。
英語の音節構造と日本語の違い
日本語では、基本的に「子音+母音」の組み合わせが一つの音節を形成します。
例えば、「ひと」という単語は
「hi(子音+母音)」
「to(子音+母音)」
の2音節から成り立っています。
これに対し、英語では「子音+母音+子音(CVC)」が一つの音節の基本形となります。
例えば、”man” は
「/m/(子音)+/æ/(母音)+/n/(子音)」
で構成され、これが一つの音節となります。
英語と日本語では、同じ単語でも音節の区切り方が異なる場合があります。例えば、”flower” という単語は、日本語的には「フラ・ワー」と区切りたくなりますが、英語では “flow/er” と区切ります。また、”chocolate” は日本語では「チョ・コ・レート」と3音節に分けますが、英語では “choc/o/late” の3音節で、最後の “e” は発音しないため、実際には2音節のように発音されます。
例えば


日本語では「タン!タン!タン!」と小分けで一つ一つの文字を発音するような感じですが、英語では一息「タン!」というリズムで発音するような感じです。
『あいうえおフォニックス』公式サイトの英語のリズムを参考に作成しています。
『あいうえおフォニックス』様が非常にわかりやすく説明されているので、こちらを参考にしてくみてください。
英語のリズムと発音のポイント
英語のリズムを理解するためには、以下のポイントが重要です。

子音で終わる音節に慣れる
日本語は母音で終わる音が多いですが、英語では子音で終わる音節が一般的です。例えば、”bed” や “dog” など、最後が子音で終わる単語の発音に注意しましょう。
英語ではこの子音の終わりがしっかり聞こえないと意味が伝わりづらくなるため、特に語尾の子音を意識して発音することが大切です。たとえば、「bed(ベッド)」と「bet(賭ける)」では語尾の音が異なり、意味もまったく異なります。

子音群の発音を練習する
”scratch” のように、複数の子音が連続する場合、一息で発音する練習を行いましょう。日本語にはない子音の連なりに慣れるには、最初はゆっくり発音して、徐々に自然なスピードで言えるように繰り返し練習するのが効果的。
また、口や舌の動きにも意識を向けながら練習すると、発音が安定しやすくなります。

音節の区切りを意識する
英語特有の音節の区切り方を理解し、正しいリズムで発音することが重要です。英語では、どこで音が区切れるかによって意味の聞き取りやすさが大きく変わる。
たとえば、”an apple(アン アップル)” は「an / apple」のように音節を明確にすることで、リスニングにもスピーキングにも良い効果をもたらします。
1分でできる!シラブル音読トレーニング法
例えば下記の様な英文を用意します。
- This is an apple
- He has a big house
This is an appleであれば
- This = 1シラブル
- is = 1シラブル
- an = 1シラブル
- ap/ple = 2シラブル

合計で5シラブルです。
まずは、1つ1つのシラブル(音節)を丁寧に区切って読みましょう。たとえば “This / is / an / ap/ple” のように、単語を音節に分け、ひとつずつはっきりと発音します。この段階ではスピードよりも正確さが大切です。口の動きや舌の位置を意識しながら、音のつながりが明瞭になるように心がけてください。
「英語の音を“見る”ように読む」意識で行うと、シラブル感覚が自然と身についていきます。音節のたびに一拍おいて読み上げると、リズムも意識しやすくなります。
音節の区切りに慣れてきたら、次はテンポを意識してみましょう。「This / is / an / apple」と一定のリズムで読み、タン・タン・タン…とリズムが均等になるように練習します。最初はゆっくりでも、毎日少しずつスピードを上げることで、ネイティブスピーカーに近い自然な抑揚やテンポに近づけることができます。
この時、「速く読む」ことよりも「滑らかに読む」ことを目指しましょう。滑らかなリズムの中で、シラブルのまとまりを保ちつつ発音できるようになることが理想です。
練習の仕上げとして、自分の音読を録音して聞いてみましょう。録音した音声を再生してみると、自分では気づけなかった発音のあいまいや、音節のリズムの乱れなどに気づくことができます。
また、1週間前の録音と比べることで、自分の成長を客観的に実感することも可能です。発音の明瞭さ、リズムの自然さ、テンポの安定感など、複数の観点から振り返ってみると、学習の手応えも一層強く感じられるでしょう。
下記の様な海外ドラマとの相性は抜群なので、Netflixで見れる海外ドラマをまとめてますので、参考にご覧ください。

シラブル音読を日常学習に取り入れる方法
日常に取り入れる方法
1.朝の1分間ルーティンに組み込む
2.スマホのメモやアプリに例文をストック
3.音読日記をつける
- 朝の1分間ルーティンに組み込む
習慣化には「時間の固定」が効果的です。例えば、朝起きた直後や歯を磨く前など、毎日必ず通るタイミングに1分間だけ音読を組み込みましょう。たとえ短時間でも、英語の音に触れることで脳が英語モードに切り替わりやすくなります。また、同じ時間帯に行うことで習慣として定着しやすくなります。 - スマホのメモやアプリに例文をストック
ちょっとした空き時間に練習できるよう、短い英語フレーズや例文をメモ帳アプリや語学アプリに保存しておきましょう。通勤中や昼休み、待ち時間などを活用することで、まとまった学習時間が取れない日でも練習を継続できます。アプリによっては録音機能や発音チェック機能が付いているものもあり、より効果的なトレーニングが可能です。 - 音読日記をつける
その日に音読した例文や回数、発音の感想などを簡単に記録しておくことで、学習の軌跡が見えるようになります。日記を振り返れば、自分の発音がどう変化してきたかを確認でき、やる気の維持にもつながります。紙のノートでもアプリでも構いませんが、録音と組み合わせると、成長を耳でも実感できておすすめです。
学習を続けるためのコツとモチベーション維持法
続けるためのコツ
1.やったかどうかだけで自己評価
2.口パクでも効果あり
3.録音を週1回聞き返す
4.他の学習と組み合わせる
- “やったかどうか”だけで自己評価
完璧を目指す必要はありません。「今日は1回でも練習できたか?」それだけで十分です。
英語学習は続けること自体に意味があるので、仮にうまくできなくても自分を責める必要はありません。むしろ「やった」という事実が積み重なることで、自信がつき、継続の原動力になります。 - 声に出せないときは“口パク”でも効果あり
声を出すのが難しい環境でも、唇や舌の動きを使って“無音音読”することで、発音の練習は可能です。
脳は口の動きと音をリンクさせて記憶するため、実際に声を出さなくても、英語の音に対する感覚を養うことができます。電車の中や職場の休憩中でも練習できるので、時間の有効活用にもなります。 - 録音を週1回聞き返す
自分の音声を聞き返すことで、以前よりもリズムが整ってきている、発音がクリアになっているなど、成長の実感が得られます。また、気づかなかったクセや改善点にも気づける貴重な機会になります。
録音の回数を増やせば増やすほど、自己修正能力も高まっていきます。 - 他の学習と組み合わせる
シラブル音読は、単語学習・文法演習・リスニング練習など、あらゆる英語学習と相乗効果があります。例えば、新しく覚えた単語を使って文を作り、それを音読すれば語彙と発音の両方が強化されます。
リスニング教材の英文を使って音読するのも効果的です。多角的に活用することで、学習の効率が飛躍的に向上します。
オンラインの英会話なども組み合わせてやるとモチベーションもアップしやすく継続しやすいです。下記にコスパの良いオンライン英会話をまとめてますので、参考にご覧ください。

シラブル音読のデメリット・注意点

注意!
デメリットにも注意!
シラブル音読は多くのメリットがある一方で、いくつかの注意点やデメリットも存在します。以下に挙げる点に気をつけながら取り組むことで、効果を最大化しつつ学習の落とし穴を避けることができます。
意味理解が後回しになることがある音に集中するあまり、文章の意味や内容がなおざりになることがあります。英語は「意味を理解して使う言語」でもあるため、音読に偏りすぎないよう、理解とのバランスが大切です。
不自然な区切り方になるリスクシラブル単位で区切ることばかりに意識が向くと、実際の会話とは異なる不自然な抑揚やテンポになってしまうことがあります。教材や模範音声を参考にし、実際の英語の流れを意識しながら練習することが重要です。

自己流で続けると効果が出にくい自己流の発音や区切りが身についてしまうと、間違ったリズムで覚えてしまう恐れがあります。できるだけ正確な発音例に触れながら、自己チェックや録音確認を怠らないことが大切です。
即効性は期待できない効果が現れるまでにある程度の継続が必要です。「1分だからすぐに効果が出る」とは限らず、少しずつ英語の耳や口を鍛えていく過程を大切にしましょう。
まとめ

- シラブル音読は短時間でも高い効果を発揮するトレーニング法
- 継続することでリスニング・スピーキングの両方に良い影響を与える
- 忙しい日でも、毎日1分から無理なく始められる
- 学習へのハードルが低いため、英語学習に習慣性を持たせやすい
シラブル音読は、英語を「意味」で捉える前に、「音」として身体に取り込むための非常に有効なアプローチです。リズムや音のまとまりを意識することで、英語本来のテンポやイントネーションが自然に身につき、リスニングでの「聞こえたけど意味が取れない」という壁を乗り越える助けにもなります。
英語学習に伸び悩んでいると感じている方は、ぜひこの“音のまとまり”に注目したトレーニングを今日から取り入れてみてください。
最初はゆっくりでも構いません。「意味」よりも「音」を感じること
そこから、英語が「聞ける」「話せる」に変わっていく第一歩がきっと始まります。
また下記のNetflixで英語音声・字幕で見る事ができるアニメ一覧をまとめてますので、是非参考にしてください。
