TOEIC(Test of English for International Communication)は、英語を母国語としない人々の英語能力を測定するための試験です。
現在どのくらいの英語力があるかを証明する資格試験で、英語力の数値化と言えばわかりやすいでしょうか。
主にビジネスや国際的なコミュニケーションシーンで使用される英語の理解力と実践力を評価することを目的としています。日本の多くの企業では英語力を測る信頼度の高い資格として認知しています。
TOEICは1979年に初めて実施され、以来、世界中で広く認知される試験となりました。試験はEducational Testing Service(ETS)によって開発され、管理されています。
TOEICの種類
TOEICは大きく分けて以下の2種類があります。
- TOEIC Listening & Reading Test
リスニングとリーディングの英語力を測定するマークシート方式の客観テスト - TOEIC Speaking & Writing Tests
効果的に英語でコミュニケーションをするために必要な、話す、書く能力を測定するテスト
以下で詳しく説明します。
この試験は、リスニング(Listening)とリーディング(Reading)の2つのセクションから構成されており、合計で2時間の試験です。
それぞれのセクションは100問で構成され、リスニングセクションは約45分、リーディングセクションは約75分です。スコアは10点から990点までの範囲で評価されます。各セクションは以下のように分けられます。
リスニングセクション
- Part 1:写真描写問題
- Part 2:応答問題
- Part 3:会話問題
- Part 4:説明文問題
リーディングセクション
- Part 5:短文穴埋め問題
- Part 6:長文穴埋め問題
- Part 7:読解問題
これらの試験は、スピーキング(Speaking)とライティング(Writing)の能力を評価するもので、それぞれ20分と60分の試験時間です。
スピーキングテストは11問、ライティングテストは8問で構成されています。スコアは0点から200点までの範囲で評価されます。
スピーキングセクション
- 文章を読んで話す
- 写真を見て話す
- 質問に答える
- 情報を使って話す
- 意見を述べる
ライティングセクション
- 写真を見て文を書く
- 指示に基づいて文を書く
- 意見を述べるエッセイを書く
TOEICの必要性

TOEICが必要とされる理由はいくつかありますが、主に以下の点が挙げられます。
就職・昇進の要件
多くの企業や団体が、採用や昇進の条件としてTOEICスコアを設定しています。
特に国際的な業務に従事する場合、高いTOEICスコアが求められることが多いです。
例えば、外資系企業や貿易関連の企業では、英語でのコミュニケーション能力が重要視されるため、TOEICスコアが採用基準の一つとなっています。
自己評価とスキル向上
TOEICは、自分の英語力を客観的に評価する手段としても有効です。
試験結果を基に、自分の強みや弱みを把握し、英語学習の計画を立てることができます。
特に、リスニングやリーディングのスキルを重点的に向上させたい場合、TOEICの問題形式に慣れることで、実践的な英語力を効果的に伸ばすことができます。
大学入試・卒業要件
一部の大学や専門学校では、入学試験や卒業要件として一定のTOEICスコアを求める場合があります。
これは、学生が国際的な視野を持ち、グローバルな環境で活躍できるようになるための基礎的な英語力を身につけていることを確認するためです。
国際的な信頼性
TOEICスコアは世界中で広く認知されており、海外での留学や就職活動においても有効です。
国際的な企業や教育機関での評価基準として利用されるため、グローバルなキャリアを目指す人にとっては大きなメリットとなります。
TOEICのメリット

TOEICスコアは世界中の企業や教育機関で認知されているため、信頼性が高いです。これにより、英語力を証明するための標準的な指標として活用できます。
客観的な評価
TOEICは英語力を客観的に測定できるため、自分のスキルレベルを正確に把握することができます。
特に、リスニングやリーディングのスキルを重点的に評価するため、実際のビジネスシーンで役立つ能力を測定できます。
モチベーションの向上
スコアを目標にすることで、英語学習のモチベーションを高めることができます。
具体的な目標を設定することで、学習の進捗を確認しやすくなり、継続的な学習が促進されます。
企業での評価
多くの企業がTOEICスコアを採用基準や昇進基準として利用しているため、高スコアを持っていることがキャリアにおいて有利に働きます。
国際的なビジネス環境では、TOEICスコアが英語力の証明として重要視されます。
TOEICのデメリット

費用がかかる
TOEICの受験料は高額であり、頻繁に受験するのは経済的に難しい場合があります。
また、試験対策にかかる費用も考慮する必要があります。
試験対策が必要
高得点を取るためには、特有の試験対策が必要です。TOEICの問題形式に慣れるための訓練が必要であり、実際の英語運用能力とは異なる部分もあります。
このため、TOEICのスコアが必ずしも実際の英語コミュニケーション能力を完全に反映しているわけではありません。
ストレスとプレッシャー
試験本番でのストレスやプレッシャーがパフォーマンスに影響を与えることがあります。
特に、リスニングセクションでは一度しか聞けない問題が多いため、集中力と瞬発力が求められます。
実際の英語使用状況と乖離することもある
TOEICはビジネスシーンでの英語使用を想定していますが、全ての業界や職種において同じように有効であるとは限りません。
特定の専門分野や技術的な業務においては、他の英語試験や評価方法が適している場合もあります。
TOEICの対策方法

TOEICで高得点を狙うためには、効果的な対策が必要です。以下に、一般的な対策方法をいくつか紹介します。
リスニング力の強化
TOEICリスニングセクションでは、ビジネスや日常生活に関連する会話やアナウンスが出題されます。
英語のニュース番組やポッドキャスト、映画やドラマを視聴することで、様々なアクセントやスピードの英語に慣れることが重要です。
模擬試験の実施
実際の試験形式に慣れるために、模擬試験を繰り返し受けることが効果的です。
時間を計って解答し、スピードと正確性を向上させる練習を行いましょう。
ディクテーション練習
聞いた英語を文字に起こすディクテーション練習を行うことで、細かい音や単語を聞き取る力を養うことができます。
リーディングセクションの対策

速読の練習
リーディングセクションでは、限られた時間内に多くの文章を読む必要があります。
速読の練習を行い、重要な情報を迅速に見つけ出すスキルを磨きましょう。
語彙力の強化
ビジネスや日常生活で使用される英語の語彙を増やすことが重要です。
単語帳やフラッシュカードを活用し、新しい単語を定期的に復習しましょう。
文法の理解
TOEICリーディングセクションでは、文法の知識も問われます。基本的な文法ルールをしっかりと理解し、練習問題を通じて確認することが必要です。
結論
TOEICは、特にビジネス環境での英語力を評価するための有力なツールとして広く使用されています。グローバルなキャリアを目指す人にとって、TOEICの高スコアは大きなアドバンテージとなります。また、自分の英語力を客観的に評価し、学習の進捗を確認するためにも有用です。

一方で、試験対策に時間と費用がかかることや、実際の英語使用状況と完全に一致しない場合があることも考慮する必要があります。自分のキャリアや学業の目標に応じて、TOEICの受験が本当に必要かどうかを慎重に判断することが重要です。
もし国際的な職場でのキャリアを考えている場合や、英語力を客観的に評価したい場合は、TOEICの受験を検討する価値があります。高スコアを目指してしっかりと対策を行い、実践的な英語力を身につけることで、グローバルな舞台での活躍の機会が広がることでしょう。